※1 大さん橋国際旅客ターミナル



1894(明治27)年の完成以来、横浜の大さん橋埠頭は日本の海の玄関口として活躍してきた。1989(平成元)年より再整備が着手され2002(平成14)年、21世紀のクルーズ需要に応えたターミナルとして、また、市民利用施設をひとつの建物の中に納め、新しい大さん橋国際旅客ターミナルがオープンした。ターミナル内には階段が少なく、スロープやエレベータにより上下階に移動できるバリアフリー対応。地下1階地上2階建。最高高さ15メートル、建物の全長約430メートル、幅約70メートル。総床面積約44,000u(地下約2,000u、1階約20,000u、2階約22,000u)。
左:各階へはスロープを通じて行き来できる
中:広々とした出入国ロビー。ここから先は税関です
右:埠頭の突端にある「多目的ホール」
※2 屋上広場



ウッドデッキと芝生で構成された24時間開放の広場。野外イベント広場でのコンサートや、客船の入出港を間近に観ることができ、赤レンガ倉庫など港の景観を楽しむことができる。「船」を主役とするために建物の高さをできるだけ抑え、屋根面は波をイメージした緩い曲線を描いている。柔らかさ、ブラジル産イペ木材を一面に敷きつめ、心地よさを演出した。
左:室内のアーチ状の天井に沿って、多数の面で構成された屋上デッキ
中:屋上へとつづくスロープ。床も壁面もすべてがペナ木材
右:赤レンガ倉庫のむこうに、みなとみらい横浜を一望できる
※3 国際デザインコンペ



1994〜95(平成6〜7)年に行われた国際デザインコンペ(国際建築設計競技)では、ターミナルの新デザインに世界41カ国から660作品(国内336作品、海外324作品)の応募があった。これは国内で行われた国際コンペとしては過去最高のものとなった。最優秀作品には、イギリス在住の2名の建築家アレハンドロ・ザエラ・ポロ、ファルシド・ムサビ両氏の作品が選ばれ、この作品を基に整備が進められた。曲面を多用した個性的なデザインと柱のない大空間を構成する斬新な構造は、国内はもとより海外からも注目を集めている。
左:木、ガラス、鉄を主材料に構成されたターミナル
中:ガラス張りの出入国ロビーは、木漏れ日が気持ちいい
右:屋根を支える支柱がなく、空間をより広々と感じさせる