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2003.12.10
散歩 de 探訪 -街・たてもの 歩いて見える新発見- 「浜離宮恩賜庭園」

vol.11 潮が薫る大名庭園「浜離宮恩賜庭園」

都営大江戸線 築地市場駅または汐留駅、ゆりかもめ線 汐留駅 徒歩7分
JR・銀座線・浅草線 新橋駅 徒歩15分
水上バス(日の出桟橋─浅草) 浜離宮恩賜庭園駅下船すぐ
9時〜17時(入園は16時半まで) 休園:年末年始 TEL:03-3541-0200
入園料:一般及び中学生 300円/65歳以上 150円
(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料) 団体割引あり

博士: ほぉー。見事な初冬風景じゃの。さすが名園・浜離宮じゃ。
助手: っつーか。なんでまた、汐留まで来て浜離宮なんです!?フツー、汐留の新ビル郡を…。
博士: ふぅ。わかっとらんのぉ。よし、今回は浜離宮の歴史やら景色やらを交えつつ、庭園設計の話をしよう。まずは「潮入の池」!
助手: 塩?
博士: うむ。池へは海水が引かており、潮の満ち引きで“池の表情”を変える趣向が凝らされている。池の真中を見よ、茶屋があるじゃろ?こんな風に、浜離宮は江戸時代、「浜御殿」と呼ばれた徳川将軍家の別邸なだけに、将軍家らしい豪勢で壮大な趣きがアチコチにあるのじゃ!ふぅー。にしても、海水の上に茶屋を建てるだけで相当タイヘンなはず…、贅沢じゃのぉ…。(※1)
助手: 確かに!直方体の石の上に、木の土台を載せ組んでいますね。しかも、茶屋までの橋は、ひのき製ですし。 季節がら松の“雪吊り”も美しー!!ブラボー、この絶景はイイ“かも”。(※2)
博士: カモ?
助手:
博士: きみぃ、カモと言ったかね?
助手: は、はい…。
博士: (ニコッ!)うう。君もやっと我が弟子に相応しくなってきたの。うう、ワシは嬉しい、うう。(かなり独奏モード)そう、カモなのじゃ鴨。さぁ園内最大の見所、「鴨場」へ行くぞ。
助手: ちょ、ちょっと待って!はかせ、「鴨場」って何ですかぁ?確かに池には鴨がいっぱいいたけど…。(※3)
博士: ここは将軍家の別邸と言ったじゃろ?そう、“大名道楽”的な空間もあるんじゃ。鴨場は鴨猟をするための場所で、大きな池といくつかの引堀(細い溝のようなもの)と小のぞき場(大のぞき場もある)から成っている。要は、鴨が居心地よくなるような心地いい池をわざわざ堀り、鴨を惹き付けがっぽり“網”で鴨をすくっちゃおうという狩猟で…。
助手: Wao!まさに「一網打尽」て訳ですね。
博士: それって面白い“かも”。
助手: はかせのダジャレもイケてる “かも”。
博士: 嬉しい“かも”。
助手: 今夜は鴨がいい“かも”。
博士&助手:え゛?(笑)

博士と弟子がイイ感じで楽しくなってきたところで今回はおしまい。次回もお楽しみに!

今週の建材

冬支度万全・こも巻き冬支度万全・こも巻き
冬に備え、園内各所で木々がワラの腹巻をしていました。この腹巻、正式には「こも巻き」と言い、害虫から木を守る役割があるそうだ。木に卵を産もうと登ってくる害虫を「こも巻き」がブロック。害虫は自然と「こも巻き」に集まり卵を産む。そして春、卵がかえる前に「こも巻き」を焼き払う。結果、木自体には害虫被害が及ばないって仕組みなのだ。先人の知恵ってすばらしー!


無駄demo知識

○園内には「灯篭(とうろう)」がアチコチに。これは室町時代から桃山時代にかけて茶庭に飾られるようになった名残だと思われる。
○園内には、右手に東京タワー、左手にレインボー・ブリッジが見れる絶好ビューポイントがある。ちなみに、昔は富士山も見えていたそーだ。
○年に一度だけ文化保存行事として、鷹狩の実演があるんだって。



補足de知識

※1 都内の極上庭園・浜離宮

江戸初期の頃までは徳川将軍家の鷹狩場で一面芦原だったが、徳川将軍家の別邸として回遊式潮入築山泉水水庭園に改築。明治維新以降は、皇室の離宮「浜離宮」となった。面積250,165u、樹木数約8,000本。四季折々の風景が楽しめ、都会のオアシスとなっている。

※2 中島の御茶屋

左: お伝い橋。池の岸から小の字島と中島を結ぶ長さ118mの橋。
中央: 中島の御茶屋。宝永4年に造られ、将軍・公家らがココからの素晴らしい眺望を楽しんだ休憩所。現在では、抹茶と和菓子のセット(500円)で一休みできる。
右: 海水を出し入れできる水門。遠くにはレインボーブリッジも見えるよ!

※3 いいカモ続々!?鴨場

左: 鴨が居心地良くなるよう鴨場は、池と林を3mほどの常緑樹や竹笹をびっしり植えた土手で囲われている。
右: 餌付けされたアヒルをおとりに、鴨を引堀に誘い込む。


左: 引堀に追い込んだ鴨を、のぞき穴から確認しつつ機を見計らって・・・
右: 木槌で大きな音を出す!!ビックリして逃げようとする鴨を大きな網で一網打尽にする。

※4 浜離宮⇔両国 のんびり船旅
両国〜浜離宮〜パレットタウン〜有明〜葛西など
隅田川下りと一緒に東京湾をくるりと一周できる船旅もオススメ。
コースや時間など、季節変動あり。詳しくは下記へ。
運賃:片道200円〜 TEL:03-5608-8869
http://www.tokyo-park.or.jp


今週の「ツウ」快ふしぎ発見!

今週の「ツウ」快ふしぎ発見!
園内に設けられた、ずどーんと広い道。これは馬場跡。かつて、この道を使って、流鏑馬(やぶさめ)が行われていたようです。ちなみに、流鏑馬とは、狩装束に身を包んだ騎手が 馬を走らせながら3つの的を次々に射るというもの。現在でも、鎌倉・鶴岡八幡宮はじめ全国各地で「流鏑馬神事」が行われ、実演の様子が見られる。


散歩de探訪録

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≫vol.02 お台場・ビーナスフォート
≫vol.03 鎌倉・円覚寺
≫vol.04 多摩・コカ・コーラ多摩工場
≫vol.05 国会議事堂
≫vol.06 会津・大内宿
≫vol.07 黒部ダム
≫vol.08 草津温泉郷
≫vol.09 ベイブリッジ
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≫vol.18 2週連続企画〜江戸東京たてもの園:その1
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≫vol.21 横浜ベイサイドマリーナ
≫vol.22 浅草・仲見世通り
≫vol.23 東京都庁
≫vol.24 東京湾アクアライン・海ほたる
≫vol.25 横浜港大さん橋国際旅客ターミナル
≫vol.26 総集編 長い散歩のあとに・はかせインタビュー



ライタープロフィール

◎アドバイザー:《羅針盤》
HP ⇒http://www.geocities.jp/dm97032/works/top.htm
建築家の異色ユニット。
自らの事務所を持ち、建築家として建物のプランニング・設計する側ら、オリジナル家具・インテリア小物や雑貨などのデザイン制作を担当するなど幅広く活動中。「明日の生活を建築・インテリアで改革」と豪語(笑)する、自然愛好家たち。
◎文:たばたひろえ