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2003.12.03
散歩 de 探訪 -街・たてもの 歩いて見える新発見- 「小江戸・川越」

vol.10 蔵が軒を並べる粋な街「小江戸・川越」

JR川越線・東武東上線 川越駅または、西武新宿線 本川越駅
TEL:049-222-5556
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/kanko/kawa05.htm

博士: 皆の衆、であぇ、であぇ、火事じゃぁー!
なーんてな、ま、この川越じゃ「火」なんて恐くないがの。
助手: …?
博士: この重層な蔵造りの街並みを見よ。(※1)ゴッツイ扉に、あっつい壁。そして、ワタクシ博士の分厚い胸板♪
助手: は、はかせ、また脱線してますよ!
それはそーと今回の見所は、川越の蔵造り!!この蔵って、ひとつひとつが商店なんですよね?
博士: その通り。看板が付いている横長の建物が「店蔵」そしてその隣にある小さな蔵が「袖蔵」。店蔵はその名の通り、蔵構造でだがレッキとした店舗であり、袖蔵は主に貯蔵や倉庫として利用されていたようじゃ。ズラっと壮観にならぶ蔵造りじゃが、ここまでの街並みができたきっかけは…。
助手: フ○テレビ!
博士: (敢えて無視)もともとは享保5年、江戸幕府の奨励で防火建築として土蔵造り商家が建ち並ぶようになったのが始まり。で明治26年、あの川越大火で、一斉に“火”がついたんじゃ。まさに、蔵造りブーム!
というのも、あの火事で1/3戸数が焼失した中、なんと、蔵造りの大沢家は焼け残ったいう。(※2)
助手: ブラボー、蔵造り!川越商人は、私財や商品を守るため、耐火性のある蔵造りに建て替えたってワケですね!
博士: うむ。2階の窓を見よ。あの重厚な観音扉はまさしく防火&防犯用。万が一、近所で火事が起きた場合、あの扉を閉め、さらに、屋根に登って、わずかな合わせ目も塗り込み、完全防火したらしい。
助手: いかつい鬼瓦ですね、あれも防火用?
博士: (にやり)突然ですが問題です!鬼瓦は、どこまで鬼瓦でしょう?
助手: は?
博士: 鬼じゃよ、鬼がわ…。
助手: 鬼?鬼嫁?鬼は外?鬼ごっこ?
博士: (呆れ果てて)皆様、こんな不出来な弟子で申し訳ない。バカ弟子に説明する紙面がもったいないので、このクイズの答えは右欄に詳しく掲載します。ご了承くだされ。(※3)
(弟子を導き)はいはい、ボク、次行くよぉー。菓子屋横丁に行くぞぉ。
助手: (ムッ)はかせ!それは博士の役でしょ!ほらほら、ぼーず駄菓子だ!ニッキ飴に焼だんご、川越銘菓のサツマイモ菓子もいっぱいだよぉー!
博士: うわぁー、子供時代のお宝が!!(猛ダッシュ!)
助手: …やっぱ…単純。あれぞ、食の鬼ですねー。(※4)

博士と弟子。どんぐりの背比べが始まったところで今回はおしまい。次回もお楽しみに!

今週の建材

粋な銅製雨どい粋な銅製雨どい
今ではあまり見られなくなった「銅製」。川越の店蔵では、銅製雨どいが!職人の心意気を見せつけるかように、雨どいにデザインが施されている。実際、銅は加工しやすく、時間の経過と共に青く錆びる。この銅特有の青い錆びが(緑青(ろくしょう)と言う)重厚感を出し、より古風な感じをかもし出しているのだ。


無駄demo知識

○川越の蔵造りの壁の多くは黒色!これは「江戸黒」といい、江戸の粋(流行色!?)で、贅沢普請の一つだったそうだ。
○川越に天神外宮があるため、わらべ歌「とうりゃんせ」は川越発祥だという説がある。
○蔵造り資料館2階の窓からは、ひっそりと時の鐘が見えるよ。



今週の「ツウ」快ふしぎ発見!

今週の「ツウ」快ふしぎ発見!
鬼瓦側面にドアの取っ手のようなものが。。。思わずノックしたくなるこの金物は通称「丸環(まるかん)」。外壁などの改修・修繕・改装工事を行う場合、足場等を設置するのに“繋ぎ”の役割を担う、安全に工事するために必要な道具です。また、窓、外壁の清掃の際には、「命綱」を付けるフックとしても活躍。ただし、建物の規模などにより、全ての建物についているわけではありません。


補足de知識

※1 小江戸・川越小江戸・川越
木造3階建、高さ16.2mを誇る、川越のシンボル「時の鐘」。現在でも1日4回(6時、12時、15時、8時)、蔵造りの街に鐘の音を響かせている(現在は手動ではなく自動)。

※2 耐火性・防犯性に優れる蔵造り

「火事とけんかは江戸の花」と言われるように、度重なる大火のため、江戸では蔵造りが多く建てられていました。川越の街並みは、川越大火後、江戸の日本橋に倣って構築されたそうです。一時は100軒以上が軒を列ねたとか(現在では30軒ぐらい)。小江戸と言われる所以は、こんなトコにもあるのかもしれません。なお、蔵の壁は、燃えにくい漆喰で造られており、蔵造りは当時の普通の住まいの10倍近い費用がかかります。防火の知恵だけでなく、川越商人の富の象徴だったのかもしれませんね。

※3 ごっつい鬼瓦の構造は?

屋根の突起部分すべてが鬼瓦と思われていますが、純粋な瓦部分は、真中の黒い部分のみ。建築工事時に、鬼瓦を屋根上まで運び載せ、屋根上で、鬼瓦のまわりに「カゲ盛」(左写真白い部分、原料は漆喰)を作るのです。これは、鬼瓦をバックアップするためと全体のバランスをとるため。作った当初は白いのに、雨風に打たれるうちに黒くなり、遠目には「まるごと鬼瓦」に見えちゃうというワケ。
左:鬼瓦は蔵造り資料館に設置されたものです。

※4 懐かしさいっぱい、菓子屋横丁

左:ふがし、ハッカ飴、せんべいなどなど、左右には駄菓子屋がいっぱい!
中央:横丁の石畳には、駄菓子の飴細工をイメージさせる色とりどりのガラスがはまっている。
右:飴、飴、飴。おばちゃんの優しい笑顔と一緒にお土産にいかが?

※5 見所いっぱい川越!
「川越蔵造り資料館」元・煙草卸商で内観できます。
9:00〜17:00(入館は16:30まで)
月曜休館(年末年始休館など有)
料金:大人100円 中・高・大学生50円 児童30円
TEL:049-225-4287


今週のプレゼント!!

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■応募方法
 住所、氏名、年齢、電話番号を明記の上、
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・ハガキ:
 〒102-8460 KDDI株式会社コンテンツ企画部
  ポータルビジネスグループ 芋せんべいプレゼント係
・メール:sanpo@dion.ne.jp

■締切 12月10日24時

■発表 賞品の発送をもってかえさせて頂きます。


散歩de探訪録

≫vol.01 横浜・赤レンガ倉庫
≫vol.02 お台場・ビーナスフォート
≫vol.03 鎌倉・円覚寺
≫vol.04 多摩・コカ・コーラ多摩工場
≫vol.05 国会議事堂
≫vol.06 会津・大内宿
≫vol.07 黒部ダム
≫vol.08 草津温泉郷
≫vol.09 ベイブリッジ
≫vol.10 小江戸・川越
≫vol.11 浜離宮恩賜庭園
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≫vol.19 2週連続企画〜江戸東京たてもの園:その2
≫vol.20 幕張ベイタウン
≫vol.21 横浜ベイサイドマリーナ
≫vol.22 浅草・仲見世通り
≫vol.23 東京都庁
≫vol.24 東京湾アクアライン・海ほたる
≫vol.25 横浜港大さん橋国際旅客ターミナル
≫vol.26 総集編 長い散歩のあとに・はかせインタビュー



ライタープロフィール

◎アドバイザー:《羅針盤》
HP ⇒http://www.geocities.jp/dm97032/works/top.htm
建築家の異色ユニット。
自らの事務所を持ち、建築家として建物のプランニング・設計する側ら、オリジナル家具・インテリア小物や雑貨などのデザイン制作を担当するなど幅広く活動中。「明日の生活を建築・インテリアで改革」と豪語(笑)する、自然愛好家たち。
◎文:たばたひろえ