※1 江戸東京たてもの園



都立小金井公園内に平成5年(1993)江戸東京博物館の分館としてオープンした野外博物館。敷地面積は約7ヘクタールの広大な園内には現在、27棟の復元建造物が建ち並ぶ。近世初頭から現代まで都内に所在していた、文化的価値の高い歴史的建造物は様々な事情により、現地保存が不可能になりつつある。そうした建物を移築し、復元・保存さらに展示公開することで、貴重な文化遺産をじかに体感することができる。たてもの園の出入り口となる「ビジターセンター(旧光華殿・きゅうこうかでん)」や資料館、「高橋是清邸(たかはしこれきよてい)」など歴史を伝えるセンターゾーン。商家・酒屋に銭湯など下町の風情を残す東ゾーン。山の手通り面するモダンな住宅、その奥には藁葺きの民家がつづく西ゾーン。と、園内は3ゾーンに分かれそれぞれに特徴的な建造物が集められている。また、園内ではボランティアの方々による建物のガイドを受けることもできる。
左:たてもの園の入口は旧光華殿(きゅうこうかでん)より
中:外観だけでなく、実際に建物の中に入って観賞できる
右:大人は幼少を思い出しながら、子供は新しい遊びの発見を(「はらっぱ」)
※2 看板建築



木造建築の正面に衝立のように平面的なファサード(建築の正立面)がとりついた形式の建築。主に昭和初期の木造商店建築の様式で、一般にファサードはタイル張りのほか、モルタル、銅板などでアール・デコに代表される洋風の装飾を施したもの、戸袋に和風の紋様を付けたものなどバラエティに富み、下町商人の意気と見栄のあらわれを象徴したものと言える。実際に看板が取り付けられているわけではなく、のっぺりとした板状の外観、モルタルや銅板製の装飾がまるで看板のように見えることからこの名がついた。
左:代表的な看板建築。ファサードのみに装飾が施されている
中:四季による花々の装飾が銅板で施されている(花市生花店)
右:のっぺりとした板状の外観だがそれぞれがオリジナリティに溢れている
※3 武居三省堂


明治初期創業の文具店。昭和初期の神田須田町に建てられた店舗併用住宅。一般的に間口が広く奥行きの浅い町屋が江戸の商店建築の特徴だが、この店の店舗部分は間口に対して奥行きが深い造り。圧巻は店内左右壁面に立つ、造り付けの商品棚。効率よく商品を収納できる工夫がなされている。
左:整然と並べたれた店内の商品
右:造り付けの商品棚はその数350。中には筆が収納されている
※4 子宝湯と格子天井



昭和4年(1929)に足立区千住元町に建てられた、東京の銭湯建築を代表する建物。当時、一軒の銭湯を建てる相場は2万円程度であったが、子宝湯は4.5万を費やし、贅を尽くした造りとなった。脱衣所の天井には、木材を縦横に組み正方形が連続する形に仕上げた折り上げ格天井。このスタイルは一般的に高い格式を示している。浴槽の天井部は大きく持ち上げられており、高窓を設けることで自然採光・換気を満たしている。
左:豪華なファサードの子宝湯
中:格式の高さを示す折り上げ格天井
右:全面タイル張りの浴室と富士山のペンキ絵