※1 幕張ベイタウン
1985年「幕張新都心都市施設基本計画」により、幕張新都心を21世紀にふさわしい都市として整備していくため交通・環境・都市整備の具体案が作成された。千葉県幕張の業務市街地やメッセが誕生し、その後、隣接する住宅街は従来型の団地ではない21世紀型の住宅地として開発された。これが「住宅で都市を造る」というコンセプトの幕張ベイタウンである。街路スペースにさまざまな演出を施すことで街の風景に変化と特徴を持たせ、人が心地よく働き、学び、遊び、憩う都市づくりを目指した。ベイタウンの外側には超高層、中に行くほど低層の集合住宅を配し、内側に公園や緑地、公共施設を配する工夫がなされている。1995年3月に入居開始となった幕張ベイタウンの当時の人口は約2,000人、現在ではおよそ7倍にまで膨れあがった。
左:それぞれの街区により特徴的な建物が建ち並ぶ
中:街の中心部は低層の建物がつづく
右:奥に見えるのは幕張新都心の業務市街地
※2 美浜プロムナード
幕張ベイタウンの賑わいを最も実感できるメインストリート。パリ6区やドイツピースバーデン、スイスのチューリッヒといった欧州の街並みのように住宅の1階に設けられたオープンカフェが人をつなぐ社交場であるように、このプロムナードも住宅から一歩外へ出ると、街の賑わいが目の前に拡がっている。御影石の車道・歩道には段差がなく、オープンな街路空間を演出している。「ベイタウン祭り」では数々のイベントが、またクリスマスシーズンにはイルミネーションで住民だけでなく来街者を楽しませてくれる。
左:1階部に設けられた商店スペース。歩道も広くとってある
中:建物の外壁には12星座のレリーフが(ふたご座)
右:車道と歩道には段差がなくバリアフリーな環境
※3 打瀬小学校
平成7年(1995)幕張ベイタウンの街開きとともに開校。21世紀のライフスタイルを目指した街と一体化し、街に開かれ校門もフェンスもないオープンスクール。建築家集団シーラカンスによる設計は千葉市優秀建築賞(1995)のほか数々の賞を受賞している。校舎内は吹き抜けが多用され、打ちっ放しのコンクリート壁、充分な採光がとれる大きな窓と開放的な空間。教室と廊下の仕切りはなく、すべての施設にバリアフリーの精神が徹底されている。
左:街に開かれた校庭、学生たちはどこからでも教室へと行ける
右:ガラス張りの開放的なクラス
※4 スティーブン・ホール(STEVEN HOLL)
1947年アメリカワシントン州生まれ。ワシントン大学建築学部卒業後ローマ、ロンドンにてヨーロッパの近現代建築を学び、1976年スティーブン・ホール・アーキテクツ設立。幕張ベイタウン11番街(1996)のほかネクサス・ワールド集合住宅(1991)と日本で集合住宅を2つも完成させた、世界的アーキテクト。その他アメリカ、オランダ、中国と氏の現象学的な集合建築は世界の都市に佇んでいる。
左:無機質な雰囲気の中にデザイナーの意匠が込められたファサード
中:中庭の池から銅板の集会所を望む
右:穏やかで居心地のよい中庭