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2003.12.17
散歩 de 探訪 -街・たてもの 歩いて見える新発見- 「東京大学」

vol.12 日本最高学府!「東京大学」
【本郷キャンパス】 TEL:03-3812-2111
地下鉄丸の内線 本郷三丁目駅 徒歩8分
地下鉄千代田線 湯島駅又は根津駅 徒歩8分
地下鉄南北線東大前駅  徒歩1分
http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/index-j.html

助手: はぁああ。これが、東大の赤門かぁー。
博士: (弟子を指し)こっちは、バカもん。なんちて。
助手: シー!
博士:
助手: 東大生に聞かれたら恥ずかしーよーな、ショボいギャグは禁止です!ったく恥ずかしいったら。
博士: あのなぁ、東大なんて誰でも入れるのじゃよ。(門をくぐり)ほーら入った! なんてな。
助手: (完全無視)なにやら上の方に、葵の紋が付いてますよ。
博士: (ちょっと不満ながら)うむ。本郷付近は、むかし前田藩の敷地だったんじゃ。赤門とは、前田家が徳川家斉の娘・溶姫を迎え入れる際、建てられた朱に彩られた門。そこで、屋根上の煉瓦には葵の紋、軒の丸瓦には前田家の梅鉢紋がついてるってワケなんじゃ。(※1)
助手: ウフフ。繋ぎの部分に「ハート」があしらってありますね。
博士: そーいや三四郎池も…。(※2)
助手: 正式名称は"心"字池!きっと東大は「心」と縁があるん…。
博士: ねーよ!(笑)さ、正面門から安田講堂へ行くぞよ。
助手: いちょう並木の向こうに威風堂々たる安田講堂。素晴らしい眺望ですねー。(※3)
博士: うむ。あの直線的な力強いデザインは、ゴシック様式の影響で、赤茶色タイル貼りがより一層の重厚感を与えておるようじゃの。時計を中心に全てが左右対称に造られておる。見よ、講堂前の樹木さえ左右対称なのじゃ。さらによく見ると、正門から安田講堂までのイチョウ並木を挟んで、立ち並ぶ校舎が左右対称になっておる。南に擬洋風の美しい図書館、北にはこれまた存在感のある博物館。(※4)
助手: ほぼ全ての講堂が煉瓦タイル貼りで統一され、明治・大正時代の華やかななニッポンを感じずにはいられません!!(感動)
博士: ほとんどの講堂に地下が設けられ、さらに明りとりのために…。
助手: (ぽぉー)…。
博士: コラ!聞いとるのか?
助手: (ぽぉー×2)…。
博士: …。また、入ってもうた。
…てなワケで、詳しくは右部分を見ておくれや(笑)(※5)

助手の電池が切れたところで今回はおしまい。次回もお楽しみに!

今週の建材

中身がわかるマンホール
中身がわかるマンホール中身がわかるマンホール
構内には東京帝国大学時代の名残がちらほら。このマンホールもその一つ。左から読むと「下水管」が地下を通っていることがわかる。このように、マンホールの蓋には基本的に「地下に流れているもの」と「管理者」などを表示すことが多い。ちなみに、マンホールは「マン(人)+ホール(穴)」の意、人が入れない穴は、ハンドホールと言うんですよ。


無駄demo知識

○赤門に対し、正面門は別名「黒門」と言われているそーな。
○東大の起源は、江戸時代初めに作られた「昌平坂学問所」「開成所」「医学所」の3つだと言われている。
○安田講堂前の緑地地下は、なんと学生食堂なのだ。
○東京大学校舎をモデルにした小学校が富山県にある。



補足de知識

※1 都内の極上庭園・浜離宮

左:文政8年(1827年)建立。風格ある門構えに前田藩の栄華を感じる。
中央:側の瓦には前田藩の家紋が!
右:赤門の金属部分をよーく見ると、ハートをかたどったデザインが見られる。

※2 江戸一の名園!?三四郎池
三四郎池の正式名称は「育徳園心字池」。育徳園は、江戸時代、八景・八境の勝がある、泉水・築山・小亭など数奇を極めた名園と賞されていた。その中でも「心」という文字をかたどったと言われる心字池は素晴らしく、のちに夏目漱石の「三四郎」にちなんで、三四郎池と呼ばれるようになったのだ。

※3 東大のシンボル・安田講堂

安田財閥の寄付により建てられたため、安田講堂の愛称が使われている。1925年竣工。当時「ドイツ表現主義」といわれる芸術運動の影響を受け、建築物を1つの塊として考え設計されている。威圧感さえ感じる存在感は、そんなデザインのためかもしれない。ちなみに、1969年の大学紛争による占拠事件以来、閉鎖されていたが、現在は改修され式典などに使用されているようだ。

※4 ここは西欧?美しき建物群

左:シャンデリアに赤絨毯。風格ある図書館。
中央:南北に伸びる回廊。
右:東西南北に走る、いちょう並木。

※5 なぜなぜ、地下1階・地上4階なの?
地上3階、地下1階を大まかな基準に、外壁には淡褐色のスクラッチ・タイル、ゴシック風の細部、アーチをもつ入口を用いてデザインの統一を図られている。ちなみに、地下1階があるのは当時の西欧建築様式の影響らしい。西欧では街や地域全体の美観という観点から、地下に個別の倉庫や共同の洗濯場を設け、人目のつくところに洗濯物を干さないようにしたり、道路に面した窓やベランダには、必ず花を飾るなど景観に意識した建物が建てられていました。東大の建物群は、西欧の文化、風習を模倣。地下や明かりとりのほりこみ(サンクン)が造られてたように思われる。


今週の「ツウ」快ふしぎ発見!

今週の「ツウ」快ふしぎ発見! じーっくり上部のみ見ていると五重の塔の上部分に見えませんか?これは「九輪」というもので、東大ではなぜか、図書館前にある噴水オブジェとして使用されています。和洋折衷が妙にキレイですよね!


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ライタープロフィール

◎アドバイザー:《羅針盤》
HP ⇒http://www.geocities.jp/dm97032/works/top.htm
建築家の異色ユニット。
自らの事務所を持ち、建築家として建物のプランニング・設計する側ら、オリジナル家具・インテリア小物や雑貨などのデザイン制作を担当するなど幅広く活動中。「明日の生活を建築・インテリアで改革」と豪語(笑)する、自然愛好家たち。
◎文:たばたひろえ