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2004.02.25
散歩 de 探訪 -街・たてもの 歩いて見える新発見- 「横浜ベイサイドマリーナ」

vol.21 日本有数のマリーナ&アウトレット「横浜ベイサイドマリーナ」
横浜新都市交通金沢シーサイド線鳥浜駅下車徒歩5分(JR横浜駅より約30分)
横浜ベイサイドマリーナショップス&レストランツ 不定休 営業時間 10:00〜20:00(※レストランは各店舗によって異なります)
神奈川県横浜市金沢区白帆5-2

助手: うわっ、何ですかそのボーダーシャツ?
博士: マリーナといったらやっぱり、このスタイルにかぎる!今日の探訪スポットに最適じゃろ!
助手: どーでもいいですけど、お腹まわりやや伸び気味ですよー。こっちが恥ずかしくなるようなビールっ腹を強調してどうするんですか?
博士: そんなヒドイ?
助手: お世辞にもイイとは言えないっす。
博士: どうしよう、こんな人で賑わう場所に来たっていうのに・・。
助手: 今更照れないでくださいよ。さっそく始めましょ、横浜ベイサイドマリーナ(※1)!
博士: このエリア一帯はもともと、貯木場だったんじゃが、1996年、再開発に伴いファクトリーアウトレットやレストランを併設した日本有数のマリーナに生まれ変わった。マリーナ自体は会員制なので敷地内に入ることはできないが、桟橋からこうしてヨットを眺めているだけでも気持ちいいもんだ。
助手: ここのマリーナ(※2)はかなり大きいですよね。どのくらいの船が係留できるんでしょうね。
博士: ヨットやボートの係留保管施設としては日本最大級の規模なんじゃ。現在でも1,500隻、将来的には2,000隻の係留を予定しているらしいぞ。
助手: 博士も一隻くらいはやく持てるようになってくださいよ。週末にクルージングなんてサイコーじゃないですか!
博士: 今だって買えないことはないぞ!湖の白鳥くらいなら・・。
助手: あれは足こぎのボートでしょうが!あんなもんココに泊めておいたらヒンシュクものですよ!あれ、そう言えば日本各地にマリーナと呼ばれる場所はありますよね。そもそも一番最初にできたのはどこなんでしょ?いつなんでしょ?
博士: いい質問だね!お答えしましょう。日本で本格的なマリーナ建設が始まったのは昭39年(1964)の東京オリンピックが大きく関係している。この年オリンピックのために江の島にヨットハーバーが作られたのがそもそもの始まりだ。それまでは河川などの自然条件を生かした一角に船を泊めているだけだったのに対し、しっかりと船を停泊、保管させるための桟橋やボートヤードが整備されるようになったんじゃ。
助手: 「江の島散策」のときに見たハーバーですね。あそこも広い施設でしたね。はかせ、こっちは陸の上に船がつり上げられていますよ。
博士: ここは揚降施設で船の修理工場じゃ。航海に問題がないか船底をチェックしたり、修理や洗浄の際にクレーンでつり上げるための施設じゃな。
助手: なるほど、こーやって船の修理やチェックをするんですね。そりゃ、海に浮いたままではできないですもんね。ところではかせ、このマリーナ沿いに拡がるカラフルな建物群は何でしょう?テーマパークっぽいオシャレな海の家だったりして!?
博士: おいおい、海の家って。これはマリーナに隣接した「ベイサイドマリーナショップス&レストランツ」というアウトレットモール(※3)とレストランが合体した商業施設だ!約50店舗のアウトレットが集まっておるぞ。
助手: お、おもしろそうじゃないですか!アウトレットってことはやっぱ・・安いんですかね?
博士: その目はすでに「行かせて」って言っておるぞ!まったく。
助手: すごいじゃないですか!?カラフルな建物ばかり。風車があったり、こっちのカフェの2階部には灯台がありますよ!
博士: マリーナに面してシーポートレストランツ、シーポートアウトレッツ、キッズアウトレッツ、それにライフスタイルアウトレッツで構成されたタウンで、アメリカ東海岸の街・ナンタケット島をイメージした街区になっている。聞いてる?
助手: え・・はいはい、聞いてますよ。はかせ、このクジラのおっぽの噴水見てください、デカ!
博士: そっちのちょろちょろ吹き出している水のとこ行ってみ(ニヤリ)。
助手: ここっすか?何にも起こらないですけど、ちょっと嫌な予感。「ブシューッ!」って、やっぱり〜!!
博士: 「がっはっは〜!」そうそう、クジラのおっぽがあるってことは?
助手: 背中の穴、潮の噴きだしだったんですねー。危うくズブ濡れになるとこだったじゃないですか!でも、いいですね。かるく一日中遊べる施設ですよ。
博士: 19世紀の港町の面影を残す、異国情緒あふれる空間にしあげておるんじゃ。そこがテーマパークのようで、買い物しなくても一日のんびり楽しめるだろ?
助手: でも、やっぱりお買い物したくなりますよねー。だってある意味、年中バーゲンですよ!見て、はかせ!このジーパン1,000円ですって!結構オシャレでかっこいいのに。こんな安くていいんですかね?買っちゃお!
博士: ワシも買う!
助手: はかせ、やめた方がいいですって。絶対入りませんよ!
博士: なにー!?あっちもこっちも、ワシに合うサイズがないではないか〜!!

2人とも買い物熱にとりつかれてしまったところで、今回はおしまい。次回をお楽しみに!

今週の建材

スリップや転倒から身を守る・ゴムチップ
スリップや転倒から身を守る・ゴムチップ 分子の骨組みが屈曲し特異な弾性性状を示す高分子化合物、ゴム。廃タイヤをカットし繊維などの不純物を取り除き、更に細かくして作るゴムチップは、他の素材では実現の難しい凍結抑制、騒音低減効果が期待できる。また、ゴム特有の摩擦力の高さで、人や車などのスリップや転倒を防ぎます。アウトレットモールの遊具下一面には、クッション材としてゴムチップを敷きつめている。


無駄demo知識

○「マリーナ」はアメリカ舟艇工業会による造語だという。ヨットハーバーに商業施設が併設したもので「海の散歩道」の意味がある。また、ヨットハーバーとは、単に保管施設を意味する。
○日本初の大型アウトレットモールとして誕生したのが埼玉県大井町の「アウトレットモール・リズム」。平成5年11月にオープン。ちなみにアメリカ国内には約500カ所のアウトレットモールがあるという。
○各地区大会に始まり全国大会に至る、その年の大道芸人ナンバーワンを決める芸王(ゲイワン)グランプリ。その東部地区大会が3月21日にベイサイドマリーナで行われる。



補足de知識

※1 横浜ベイサイドマリーナ

ヨットやボートの係留保管施設としては日本最大級の規模を誇る。横浜港の再整備に伴い、新山下にあった貯木場をここ、金沢の埋め立て地「木材港旧貯木水面」に移転。しかし新設されたこの施設も長らく使用されることはなかった。そのためファクトリーアウトレットやレストランを併設したマリーナとして「横浜・八景島」や「海の公園」とともに海洋性レクリエーションの拠点として再整備化されることとなった。『遊・休・集』をキーワードに一日ゆっくり滞在できるテーマパークを目指し、アメリカ東海岸のナンタケット島をイメージして造られたアウトレットモールやレストランには灯台や風車、鯨の噴水が迎え入れてくれる。

左:ここから先はオーナーのみが入ることができる桟橋
中:ボートデッキを歩きながら係留エリアを望む
右:クジラの噴水。奥に見える背中の穴には注意が必要

※2 マリーナ

海上保安庁海洋情報部によるとマリーナとは、ヨット・モーターボートなどを係留、保管するための桟橋やボートヤードが整備されているだけでなく、修理工場やクラブハウスなどのサービス施設があり、気象・海象などに関する情報が得られ出入港管理などの安全対策が図られている総合的な施設のこと。昭和40年代には佐倉・シーボニア・サンドピアなど名だたる民間マリーナが建設されるが、直後に襲ったオイルショックにより石油価格が高騰し、マリンレジャーも一時的なブームで終わる。昭和60年代にはバブル景気に伴い、マリンブームが再来、会員制のマリーナが続々と台頭するきっかけとなった。

左:ここのマリーナには約1,500隻が係留可能
右:ボートの揚降施設と修理工場

※3 アウトレットモール

アウトレットとは、もともと「はけ口」とか「排水口」といった意味。1980年代にアメリカで誕生した新しい流通業の形態で、これにはアパレル企業などが自社企画、自社生産した商品の販売を低価格で行う「ファクトリー・アウトレット」と、百貨店などの小売業が買取り仕入れた商品や、プライベートブランドの在庫品を販売する「リテール・アウトレット」という2つの形態がある。このようなアウトレットストアを集めてショッピングセンターにしたものがアウトレットモール。最初は、キズなどがあって商品にならないものや売れ残った在庫品を工場の近くで、B級品として販売した。昨今、日本各地に郊外型アウトレットモールがオープンし、新しい流通形態の確立が期待されている。数に限りがあるので、見逃すと手に入らない。原則として返品や交換できないなど注意も必要。

左:19世紀の港町をイメージした街区
中:カフェの2階部に設置された灯台
右:建物の壁面から飛び出した船頭。裏側には舵が取り付けられている


今週の「ツウ」快ふしぎ発見!

今週の「ツウ」快ふしぎ発見!
ベイサイドマリーナデッキ横に設置されている、船用ガソリンスタンド。車用よりもさらに長いホースを伸ばして給油していく。ヨットのサイズによって積載量は違うが、この日デジタルは405リットルを指しているものもあった。軽油のほか自動車と同じようにレギュラー、ハイオクなどの種類がある。


散歩de探訪録

≫vol.01 横浜・赤レンガ倉庫
≫vol.02 お台場・ビーナスフォート
≫vol.03 鎌倉・円覚寺
≫vol.04 多摩・コカ・コーラ多摩工場
≫vol.05 国会議事堂
≫vol.06 会津・大内宿
≫vol.07 黒部ダム
≫vol.08 草津温泉郷
≫vol.09 ベイブリッジ
≫vol.10 小江戸・川越
≫vol.11 浜離宮恩賜庭園
≫vol.12 東京大学
≫vol.13 東京駅
≫vol.14 銀座
≫vol.15 等々力
≫vol.16 江の島
≫vol.17 横浜中華街
≫vol.18 2週連続企画〜江戸東京たてもの園:その1
≫vol.19 2週連続企画〜江戸東京たてもの園:その2
≫vol.20 幕張ベイタウン
≫vol.21 横浜ベイサイドマリーナ
≫vol.22 浅草・仲見世通り
≫vol.23 東京都庁
≫vol.24 東京湾アクアライン・海ほたる
≫vol.25 横浜港大さん橋国際旅客ターミナル
≫vol.26 総集編 長い散歩のあとに・はかせインタビュー



ライタープロフィール

◎アドバイザー:《羅針盤》
HP ⇒http://www.geocities.jp/dm97032/works/top.htm
建築家の異色ユニット。
自らの事務所を持ち、建築家として建物のプランニング・設計する側ら、オリジナル家具・インテリア小物や雑貨などのデザイン制作を担当するなど幅広く活動中。「明日の生活を建築・インテリアで改革」と豪語(笑)する、自然愛好家たち。
◎文:平野星良(ひらのせいら)