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2003.10.29
散歩 de 探訪 -街・たてもの 歩いて見える新発見- 「国会議事堂」

vol.5 日本最高立法機関「国会議事堂」

営団地下鉄 丸の内線・千代田線 国会議事堂駅 徒歩3分。
平日月曜〜金曜 8:00〜17:00(本会議がある場合は、開会1時間前から見学中止) 
参議院見学コース約1時間 TEL:03-5512-3939
敷地面積 103,001m2 長さ(南北) 206.36m 高さ(中央塔) 65.45m
http://www.sangiin.go.jp

助手: は、はかせ!ついに、国家権力の最高機関 国会議事堂に来ちゃいましたよ(※1)
博士: うーん。昔は、よう通ったなぁー。
助手: え!?
博士: 昼寝しに。
助手: ウソつけ!ったくもぉ、今日は「最高機関」ですよ、バシっとしてください、バシっと。じゃ、参議院議場へ行きましょう!
助手&博士: ほぉー。
助手: 2・3階吹き抜けに、ステンドグラスの天井。でもって、けやきの木の彫刻に金刺繍入りのカーテン!超豪華っすねー!!
博士: うむ。だが、単に豪華というだけではないんじゃ。木彫りのモニュメントもカーテンも、ココに装飾することで「防音」「防ハウリング」の効果があるのじゃ。(※2)
助手: はぅー。ちゃんと「会議場」としての機能面も配慮された造りなんですね!
博士: ほら、あの丸くなってる一角、そこがワシの席じゃ。
助手: はーかーせー、あそこは貴賓席、ノーベル賞受賞者の方や…。
博士: だから、受賞「予定」者ってことで…。
助手: (呆れ気味に)はいはい、次行きましょう。
博士: うむ。ここは、中央塔真下の中央広間。左右対称に造られている国会議事堂のど真ん中で、1階が倉庫、2階から6階まで吹き抜け、四方をステンドグラスと大理石であしらった正面玄関ホールなんじゃ。(※3)
助手: あ、銅像が飾ってありますよ。板垣退助、大隈重信、伊藤博文…。
博士: 羅針盤博士。
助手: んなわけ、ないでしょ!でも、4つ目は台座だけで像がないですね。(※4)
博士: おっほん!一説では「政治に完成はない、未完の象徴」という意で、台座だけおいてあるそーな。つまり、未来の政治家…(くどくど)…。
助手: (聞いてない)はかせぇ、ひと休みしましょうよ。
博士: ぢゃワシの昼寝場所、御休所へ案内しよう。
助手: また、ウソ八百を!御休所は天皇陛下がお控えになる部屋でしょ!
博士: (開き直って)その通り!議事堂最高の見どころじゃぞ。美しい意匠を見よ。ひのき造りで本漆塗り、手織りの分厚い絨毯、様々な金色透彫、一枚の大理石を贅沢にくり抜き使用した出入り口のレリーフ。当世一流の石工、建具師、金工、織物師などが腕をふるい、日本工芸の粋が尽くされた場所なのじゃ。(※5)素晴らしいホント最高じゃ。
助手: …(涙)。
博士: き、きみぃ、どうした?
助手: …圧倒されました(涙×2)。
博士: (とまどい)そ、そーか。
助手: …圧巻っす(号泣)。
博士: こりゃ、あっかん。なんちて。

弟子が一流の粋に感動しまくり取材続行不可能になったところで今回はおしまい。次回もお楽しみに!

今週の建材

33種類の天然大理石33種類の天然大理石
国会議事堂は、まさに「国産石材の博物館」。“できる限り国産品を使用する”という建築方針に沿い、日本全国から最高石材と、卓越した石工職人が集められました。その技の結晶が御休所や中央広間と言えるでしょう。中央広間の床には「金華・小桜・薄曇・紅雲」など、色とりどりの大理石を使用。天然色を用い、優美なモザイク模様をデザインしています。なんと、床だけで約100万個の大理石を使っているとか。ふぅー、超贅沢!


無駄demo知識

○「静粛に!」でおなじみ議長の木槌、正式名称をギャベルという。
○議場内では5分置きにチーン!となる。これは速記者交代の合図なのだ。
○国会議事堂内の赤じゅうたん。ぜーんぶ縦にたしてゆくと約4.6kmの長さになる。



補足de知識

※1 素晴らしき国会議事堂
国会議事堂のデザインは、なんと公募により決定。その後約17年の時をかけ、1936年竣工した。日本のシンボルとなる建築とあって、建設工事は慎重をきした。

※2 テレビでおなじみ・参議院会議場

左:壮大な参議院会議場。議席の名札をセンサーで感知、自動的に出欠を取れるそーだ。
中央:議長席上にある木彫り装飾。腕のいい職人さん!ホンットいい仕事してますねぇ。
右:天井のステンドグラス。よーく見ると、割れても破片が落下しないように編み入りガラスを使用している。

※3 まるで欧州の教会、中央広間
天井までの高さ32.62m。ちょうど法隆寺の五重の塔がすっぽり入る大きさで、この空間だけで使われている石材量は約2万8千トン!すべての大理石が美しく磨きあげられ、乳白色の柔らかい光を放っていた。現在のように石材研磨が機械化されてないこの時代、とんでもない大事業だったに違いない!

※4 無像の台座
博士が紹介した説以外に、当時4人目を誰にするか決められず、将来に持ち越されたという説もある。

※5 日本工芸の骨頂!御休所

左:議事堂内で最も豪華な御休所。内部の暖炉には静岡県産大理石「もみじいし」を使用。当時は(周りに大きなビルもなく)窓から富士山が望めたという。
右:壁には徳島県産大理石「ほととぎす」を使用し、天井にはステンドグラスの天窓も!中央階段〜御休所〜貴賓化粧室(皇族方の控え室)を繋げる通路とあって、威厳と品位ある内装となっている。

※6 国会をもっと楽しもう情報
[傍聴]
本会議なら10歳以上から傍聴可能!開会時刻30分前に受付窓口で先着順に傍聴券を配布、傍聴できる。
TEL:03-5521-7445
[参議院特別体験プログラム]
小学5年から中学3年までの子供団体のみ。法律案の委員会審査、本会議審議を体験できる。
TEL:03-3581-3100


今週の「ツウ」快ふしぎ発見!

今週の「ツウ」快ふしぎ発見! 国会議事堂の廊下には、こんな金属板がよく見られます。大理石の壁にも、しっくり合う素晴らしい装飾ですが、これが一体なんだかわかりますか?ズバリ、冷暖房の吹出口なのです。その他、議事堂廊下の壁には、掃除機の吸引口やダストシュート式郵便投函口など、機能性のある設備がいっぱい。しかもデザインセンスも抜群!ニッポンの職人魂を感じますよ。

写真提供:参議院

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ライタープロフィール

◎アドバイザー:《羅針盤》
HP ⇒http://www.geocities.jp/dm97032/works/top.htm
建築家の異色ユニット。
自らの事務所を持ち、建築家として建物のプランニング・設計する側ら、オリジナル家具・インテリア小物や雑貨などのデザイン制作を担当するなど幅広く活動中。「明日の生活を建築・インテリアで改革」と豪語(笑)する、自然愛好家たち。
◎文:たばたひろえ